「新卒時は市場価値の高い人材を5年で市場価値のない人材に変える企業の特徴」を挙げたツイートに大きな反響をいただきました。
新卒時は市場価値の高い人材を5年で市場価値のない人材に変える企業の特徴
・年功序列、横並びの昇給
・減点主義の評価制度
・社内資料でも形や体裁を重視
・意思決定できるのは入社10年目以降
・上からの命令は絶対、経験重視
・意味不明な人事ローテーション
・同業の競合を上回ることだけが目標— hari | 仕事カフェ (@harinezumi_vc) October 6, 2019
このツイートに対し、引用リツイートやリプライで
「うちの会社だ」
「全部当てはまってる」
「完全に当社」
といった多数のコメントを頂戴しました。
正直、想像以上に共感していただける方が多く驚いています。
※反響については以下のまとめをご参照ください。
togetter:優秀な若者を5年で市場価値ゼロにする企業の特徴が話題に「自分の会社だ」「大企業全部じゃん」
そこでこの記事では、このツイートの補足として
- そもそも市場価値とは?なぜ必要なのか?
- 企業がなぜ優秀な若手を市場価値のない人材に変えてしまうのか?
について解説します。
「市場価値」の意味や定義は?注目される理由も解説
まず「市場価値」について、この言葉が注目される背景とその意味を簡単に説明します。

環境変化が激しい時代。
令和に入り相次いで「終身雇用の終焉」が宣言され、実際に大企業のリストラも毎月のように報道されています。
そんな時代において、これまで成功とされていた「良い会社に入って一生勤める」というモデルは完全に崩壊しました。
そこで注目されているのが「市場価値」という考え方。
「市場価値」とは、ビジネスパーソンとしての個人の価値。
つまり、
会社名は関係なくその人個人が転職市場でどれだけの価値があるか?
を示したものです。
ここでの「価値」は、
「個人としてどれだけ会社の業績に貢献できるか」
つまり、
「どれだけ会社の売上を上げられるか」
「費用を抑えられるか」
実際はさらに細分化されますが、概ねこういった指標で図られます。



- 人を価値で図るとはけしからん。
- 人は商品じゃない。
このような声が聞こえてきそうですが、時代は変わっています。
人は、市場で流通する商品になったのです。
どんな企業も一寸先は闇の現代。
一生ひとつの会社だけで働くという人は、これからの時代限りなく少なくなるでしょう。
そのときに、個人の年収や待遇を決めるのはこの「市場価値」という考え方。
いまや「市場価値」を意識せずに生きるのは非常にリスキーであると言えます。
「市場価値の高い新卒」とは?
冒頭のツイートでは「市場価値の高い新卒」という表現を使いましたが、この表現はやや語弊がありました。
学生時代に起業をして稼いだり企業のインターンでバリバリ成果を残していた人は「市場価値が高い」と言えます。
しかし、そんな学生さんは未だ極一部。
「伸びしろのある新卒」という表現の方が私の意図が伝わったのではないかと反省しています。
「伸びしろのある新卒」はどのような特徴を持っているか?
では改めて、「伸びしろのある新卒」はどのような人材でしょうか。
「論理的思考力が高い」
「コミュニケーション能力がある」
「ITスキルや英語力が高い」
人によって様々な定義はあるでしょう。
もちろん、こうしたベーススキルが高いのは重要です。
それらのベーススキルがある程度高いことを前提として、私はあえて
「素直であること」
これが「伸びしろのある人材」であると考えています。
「素直である」とはどういうことか。
「素直である」とは、
環境をつぶさに観察し、これまでの自分の価値観や固定観念に囚われずに柔軟に考え行動できる
ことであると考えています。
現在が過去にないほど環境変化の激しい時代であることは先ほど述べた通り。
そしてその変化の激しさを実感している方も多いのではないでしょうか。
このような時代に、ひとつの価値観や固定観念に縛られるのは危険です。
環境変化に合わせて柔軟に思考し行動できる人材が、これから新たな価値をどんどん生み出していくでしょう。
しかし「市場価値をなくす企業」で働いてしまうと、この「素直さ」が悪い方に働く可能性があります。
つまりそれは、「企業の文化に染まってしまう」ということ。
特に冒頭のツイートで述べたような特徴の企業で働くと
素直であるが故に
かつ
そうすることがコストパフォーマンスが高いと分かってしまう故に
こういった人材が働く企業の文化や価値観に染まっていきます。
最初は「これはおかしい」と感じることも、毎日同じ環境で仕事をしているといつしかそれが当たり前になってしまう。
こうして、「伸びしろのある人材」は「企業が求める人材」になっていきます。
※ここからは、冒頭のツイートで述べた特徴を持つ企業を「伝統的な企業」とします。
ではなぜ「伝統的な企業が求める人材」になることが「市場価値をなくす」ことにつながるのか。
その理由を次に述べます。
なぜ「伝統的な企業が求める人材」が転職では「市場価値のない人材」になるのか?
なぜ伝統的な企業が求める人材が市場価値のない人材になるのでしょうか?
答えは簡単。
それは、
「伝統的な企業が求める人材」は、「その企業でしか価値を発揮できない人材」だからです。
もう一度、人材の市場価値をなくす企業の特徴を見てみましょう。
- 年功序列、横並びの昇給
- 減点主義の評価制度
- 社内資料でも形や体裁を重視
- 意思決定できるのは入社10年目以降、上からの命令は絶対
- 経験重視意味不明な人事ローテーション
- 同業の競合を上ることだけが目標
誤解を恐れず言えば、この企業で育つのは以下のような人材です。
- その会社で良しとされている思考・行動ができる人材
- 上からの命令に疑問を持たず従う人材
- 新しいものを生み出すよりも前例を効率的に踏襲できる人材
- 「会社のシステム」に最適化された人材
いかがでしょうか。
ひと昔前まで、企業が成功するためにはこのような仕組みづくりが必要不可欠でした。
高度成長期からバブル崩壊に至るまで、従業員の終身雇用を確保しその会社の複雑な仕組みに最適化された人材を育成することが企業の成功要因だったのです。
当然、終身雇用が確保されていれば従業員としてもこの「企業が求める人材」になることが良い選択肢でした。
そして企業はこのような仕組みを構築することで良い業績を残し、「伝統的な企業」になっています。
つまり、こういった形で人材を育てるのはあくまで企業の都合。
そしてそれは前時代の成功モデルを踏襲したものなのです。
しかし、「失われた20年」を経てモノが大量にあふれ人の価値観が多様化した昨今。
デジタル化の波もあり、業界の構造や成功モデルは大きく変わっています。
このような状況の中で、
- 「伝統的な企業が求める人材」が、今後も継続的に価値を生み出し続けられるのでしょうか。
- 企業の経営が傾いたときに、これらの人材は他の企業で評価されるのでしょうか。
これらの問いに明確に
「YES」
「大丈夫」
と言えない限り、やはり個人の生存戦略としては市場価値を高めるべく動く他ないでしょう。
“時代は変わっているのに、自分たちは変われない“
日系大企業時代、同じ事で悶々としてました。 https://t.co/tsGVO1XFTo
— Rio (@Rio_Marketing) October 5, 2019
時代が変わっているのに、自分たちは変われない。
こういった状況に悶々としている若手も多いのではないでしょうか。
転職での市場価値を高めるにはどうすれば良いか?
伝統的な企業が求める人材と、市場で評価される人材が全く違うことがご納得いただけたでしょうか。
この記事を読んで、改めて
「まずい、自分の会社だ」
「完全に当てはまってる」
と思われた方は、意識的に市場価値を高める行動をすべきと言えます。
その対策については、以下にまとめていますので是非ご参照ください。
ご意見、ご質問はこの記事のコメント欄かhariのツイッターアカウントまでどうぞ。
それでは!