皆さまから寄せられた仕事のお悩みに答えるコーナー。
今回は、「仕事が遅い」という悩みに対してその原因と仕事が遅い人の特徴、改善策をまとめて解説します。
- いつも上司に「仕事が遅い」と怒られる
- 残業時間を減らしたい
と悩む方はもちろん、
- 取引先や部下の仕事が遅くて困る
- どう指導すべきか悩んでいる
という方にも参考にしていただける内容です。
この記事を読めば、もう「仕事が遅い」と言わない、言わせない。
そんな働き方ができるはずです。
取引先や部下の「仕事が遅い」に困っている方は、この記事の後半にある他人の「仕事が遅い」を解決する方法をお読みください。
目次
「仕事が遅い」はなぜ起こるのか?その原因は
「仕事が遅い」を解決するために、まずはなぜ「仕事が遅い」が発生するのか?そのメカニズムを解説します。
たいていの仕事は、仕事を「依頼する側」と「依頼される側」に分かれます。
「依頼する側」は、例えば上司や顧客。
「依頼される側」は、部下や取引先といったことが多いでしょう。
「仕事が遅い」は、この「依頼する側」と「依頼される側」の認識のズレによって発生します。

そしてその認識のズレには2つのタイプがあります。
その2つとは、「期限のズレ」と「アウトプットのズレ」。
これを抑えないと、「仕事が遅い」の本質は改善できません。
仕事を依頼する側とされる側の「期限のズレ」
まずは分かりやすい原因である「期限のズレ」から解説します。
たとえば仕事を依頼した側は1週間で100%の出来を期待していたのに、蓋を開けてみたら40%しかできていなかった。
仕事の期限を守ることは社会人としての基本行動と言えますが、こんなことが日常で起こっているのではないでしょうか。

この要因をさらに分解すると、次のような事象が発生していること考えられます。
- 依頼された側が仕事の期限を明確に認識していなかった。
- 期限は認識していたが、他の仕事に忙殺されて間に合わなかった。
- 他の関係者の協力を得られなかった。
こういった要素が原因で仕事の「期限」を守れない人は意外に多いです。
仕事を依頼する側とされる側の「アウトプットのズレ」
もう1つ、「仕事が遅い」が発生する原因があります。
それが、仕事を依頼する側とされる側の「アウトプットのズレ」。
実は多くの場合、これが要因で「仕事が遅い」が発生しています。
- 部下は完璧だと思って仕上げたが、上司の求めているものと大きくかけ離れていた。
- 顧客が「こうしてほしい」という意図が取引先に全く伝わっていなかった。
- 依頼者がイメージしていたものとは全く別のものが出来上がってきた。
仕事自体は期限にはできているが、依頼する側が求めていたものではなかったためやり直しが発生するケース。
この場合も、本来求めていたものが期限に間に合わせられなかったことから「仕事が遅い」という評価になってしまうのです。
仕事が遅い人の10の特徴
「期限のズレ」と「アウトプットのズレ」という原因が分かったところで、ここからは「仕事が遅い」と言われてしまう人の特徴を見ていきましょう。
上で述べた「期限のズレ」が発生しやすい人と「アウトプットのズレ」が発生しやすい人それぞれ5つずつ特徴を挙げます。
「期限のズレ」が発生しやすい人の5つの特徴

まずは「期限のズレ」が発生しやすい人の特徴を解説していきます。
1. 仕事に対する責任感がない
- 依頼された仕事の期限を確認しようとしない。気にしない。
- 多少遅れてもまぁいいかと考えてしまう
これはそもそもの姿勢の問題です。
責任感がなく仕事を惰性でやる人は、当然期限も守れません。
2. スケジュールが管理できない
自分に割り振られる仕事がたった1つだけという社会人はいないでしょう。
依頼された仕事と他の仕事のスケジュールをきちんと管理できていないと、気づいたら期限ギリギリだったなんてことが起こってしまいます。
3. 仕事の優先順位を決めずに取り掛かる
誰もが、多くの業務を抱えて仕事をしています。
緊急性の高そうな雑務に忙殺されて、依頼された仕事に全く手をつけられない。なんてことは多くの方に経験があるのではないでしょうか。
集中すると周りが見えなくなってしまうタイプの人に多い特徴です。
4. 関係者を巻き込めない
自分ひとりで完結できる仕事は多くありません。
たいていの場合、仕事は誰かの力を借りないと進められません。
にもかかわらず、関係者に頼れない、仕事を振れないという人は期限に仕事を間に合わせられません。
5. 決められない
仕事をする上では、大なり小なり都度決断が必要になります。
優柔不断で物事を決められない人ほど、ズルズルと仕事を先延ばしにしてしまい期限に間にわせられなかったということが発生します。
「アウトプットのズレ」が発生しやすい人の5つの特徴
後半は、仕事の「アウトプットのズレ」が生じやすい人の特徴について解説します。

6. 横着、早とちりする
横着な人や早とちりをしてしまいがちな人。
依頼された仕事の表面的なことだけを受け取ってしまい、依頼した側が本来やってほしかったアウトプットとは全く違うものを出してしまう。
依頼する側の本来の意図を確認するひと手間を惜しむことによって、このような事態が発生してしまいます。
7. 真面目すぎる
周りから「真面目すぎる」と言われる人も意外と要注意です。
「これをやっておいて」ということをその言葉通り解釈し、何も考えずその通りに作業する。
その仕事の本質的な意味合いまで理解しないまま仕事を進めてしまい、出来上がったところで「確かにこうは言ったけど、物足りない」という結果になることがよくあります。
8. 完璧主義者
完璧主義者やプライドの高い人も「仕事が遅い」と言われがち。
- 周りから「さすが、仕事ができる」と思われたい
- ダメ出しされると嫌だから最後まで人に見せないでおこう
こういった特徴を持っている人は、自分では完璧に仕上げたつもりでも依頼した側からは「これは求めていない」となってしまうことがよく発生します。
9. 思い込みが強すぎる
- 依頼者は絶対にこれが欲しいだろう。
- この進め方で合っているに違いない。
こんな思考になってしまう人も要注意です。
仕事を依頼する側との目的やゴールのズレが発生しているにも関わらず、最後まで気づかないという恐ろしい状況が起こりえます。
10. 仕事に自信がない
自分に自信がないために、依頼した側に質問や確認ができない。
- こんなことを聞いたらマズイんじゃないか
- あの人は忙しいから自分なんかが時間を取らせてはいけない
このように考えてしまう人は、いざ提示したら仕事を依頼する側との目的やゴールにズレが生じてしまっていてやり直し、ということが発生します。
上司に報連相ができない、チームや他部署への情報共有ができない、タイムリーに営業に行けない。
「仕事ができない」のは能力の問題ではなく一瞬の恐れに負け続けた結果。
恐れの感情を抱きながらも小さな一歩を踏み出せる人と、その場その場で逃げてしまう人。
時と共に大きな差がつきます。
— hari | 仕事の悩みに、仕事カフェ (@harinezumi_vc) February 4, 2020
これでもう「仕事が遅い」とは言わせない。改善方法を伝授

1. 仕事を振られた瞬間に3つのことを確認する
まず、仕事を依頼された際に次の3点を必ず確認するようにしてください。
- その仕事の期限はいつか?
- その仕事の成果物がどのように使われるのか?
- 依頼する側はどのような成果物のイメージを持っているか?
もちろん仕事を依頼する側に直接聞ければそれに越したことはありません。
ただ、場合によってはなかなか直接聞けない、聞きづらいということもあるでしょう。
そんなときでも、自分なりに仮説を持って仕事に取り組むようにしてください。
そして後で述べる「こまめに提出する」ところで、その仮説が合っているか確認すると良いでしょう。
2. 最初の段階で関係者を洗い出す。人に頼ることを恐れない
仕事を依頼されたら、まずその仕事に取り掛かる前に協力を得ないといけない人を洗い出しましょう。
そして、洗い出したらまずはその人に「この仕事の協力を仰ぎたい」と頭出しをしておく。
そうすることで仕事を振られる側としてもある程度の準備ができます。
最悪なのは、期限ギリギリになって仕事を振ること。
仕事を振られた側は大きな負担となり、時間もなく満足のいく仕事をしてもらえない可能性が高まります。
関係者には、早め早めに話をすることがポイントです。
3. 常に「どの仕事が一番重要か」を意識する
人は意識していないと、どうしても日々の仕事に忙殺されてしまいます。
忙殺されると、本来やるべき重要な仕事がどんどん後回しになっていきます。
それを避けるために、1日に5分でも10分でもいいので自分が持っている業務を洗い出して優先順位を確認するようにしてください。
その際にポイントになるのが、仕事の重要度を見極めること。
仮に他に緊急性が高い仕事を抱えていたとしても、その仕事は後回しにした方がよい必要があることも。
他の仕事は別の人に任せるか、できるだけその仕事にかける時間を少なくする工夫をするべきです。
4. マイルストーンを決めて、未完成でもこまめに提出する
例えば、10日後が締め切りの仕事を依頼されたとします。
その場合、1日後、3日後、5日後までにそれぞれ何をどこまで進めようというマイルストーンを決めてください。
そして、できればそのマイルストーンのタイミングで仕事を依頼した人に方向性を確認する。
ここでのポイントは、恐れないこと。仕事が未完成でもとにかく見せてみることです。
遠慮してしまい期限までに一度も方向性の確認ができないと、「アウトプットのズレ」が発生しやすくなります。
結果、やり直しということにもなりかねません。
他人の「仕事が遅い」を解決する方法

仕事を依頼する相手に対して「仕事が遅い」と思う方は、実は仕事の依頼の仕方が悪いのかもしれません。
もちろん相手の問題である場合も多いのですが、以下のように依頼の仕方を少し工夫するだけでこれまでよりもスムーズに仕事が回るはずです。
1. 仕事の期限・目的・ゴールを丁寧に伝える
仕事を人に依頼するときに、その仕事の「期限・目的・ゴール」を丁寧に伝えましょう。
- その仕事はいつまでにやってほしいのか
- なんのためにその仕事をやってほしいのか
- その仕事の完成イメージ
これらを、できるだけ具体的に伝えることがポイントです。
「これ、やっといて」
ではさすがに仕事の振り方が雑すぎます。
「これぐらい分かるだろう」ではなく、「分からない前提で」仕事を振ることが重要です。
2. 優先すべき仕事と捨てるべき仕事を指示する
多くの仕事の依頼をするときに、依頼された側は仕事の優先順位が分からなくなってしまう場合があります。
これを避けるために、依頼する側が相手の仕事の業務をしっかりと把握して場合によっては捨てる仕事まで指示する必要があります。
「そこまでやらないといけないの?」
と思われるかもしれませんが、重要な仕事をスムーズに進めるためにはある程度の介入が必要な場合もあります。
3. あらかじめ関係者に根回ししておく
仕事を進めるために必要な関係者を洗い出し、その人たちに事前に一言仕事の概要を伝えておくと良いでしょう。
仕事を依頼された人もその関係者の協力を仰ぎやすくなりますし、関係者も依頼者から直接声がかかっていることでその仕事に対する優先順位を上げることが期待できます。
4. 未完成でも、細かく期限を決めて提出させる
仕事を依頼する側は、依頼相手に恐れられてはいけません。
本来必要なコミュニケーションが阻害されてしまい、目的や方向性のズレが発生しやすくためです。
細かくマイルストーンを決め、その時点でのアウトプットを提示してもらう。
もし方向性がズレていたらそのタイミングで修正する。
少し手間をかけることで、最終的に大きなスケジュールの遅延なく全体の仕事が進められます。
「あいつは仕事が遅い」
たまに聞くんですが、単純に依頼する側の問題というケースもあります。
・期限、目的、ゴールを明確に伝えない
・優先順位をはっきりさせない
・関係者への根回しが不十分
・期限まで一切進捗を確認しない
要は、仕事の振り方が雑。
まずは自分に原因を探ってみては
— hari | 仕事の悩みに、仕事カフェ (@harinezumi_vc) May 9, 2020
「仕事が遅い」は考え方のコツを学べば解決できる
これまで見てきたように、「仕事が遅い」は依頼する側とされる側の「期限のズレ」と「アウトプットのズレ」が原因で発生します。
これらの原因は、総称すればその仕事の本質=何を抑えなければいけないのかが分かっていないということ。
何を抑えなければいけないか。
これを「イシュー」と呼びますが、そんなイシューを適切に抑えるための思考法:クリティカル・シンキングという考え方があります。
筆者も20代でクリティカル・シンキングを学んだおかげで、「仕事が遅い」という悩みを解決できました。
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